按ずるに | 2014/06/21 11:55 |
投稿者:Ryou | |
按ずるに、鉦を叩いて念仏を申す托鉢の聖は古くからあった。後に遊行上人出づるに及んでそれがことに発達し、カネタタキまたはカネウチなどと呼ばれた。そして空也上人の門流はその鉦に代うるに瓢箪を以ってしていたに過ぎないのである。されば通じては「叩き」と呼ばれたものであろう。そしてその「叩き」が一方ではハチであるが故に、ハチのタタキすなわち鉢叩きと呼ばれたものではあるまいか。ハチは土師である。シをチと訛ることは按察使をアゼチと訛ると同じ例である。彼らは三昧聖として葬儀の事に預り、古代の土師の行った葬儀の職務を行った。これハチの名を得た所以であろう。それをハチヤというヤは、菓子屋・筆屋のヤで、ハチヤはすなわち土師屋・葬儀屋の義であると解する。勿論彼らは直接昔の土師部の後裔ではない。彼らの伝説によるも、空也上人に救われて上方から落ちて来たと言っていた。つまり間人散所法師の徒であったのである。 間人はハシヒトすなわち土師人で、駆使に役せられるが故にハセツカベとも呼ばれ、しかもなお文字に※部または泥部と書いた次第は既に観察した。そしてハチヤは実にみずからその土師の掌る葬儀の職に従事した土師人で、真の意味における間人と云ってしかるべきものであった。 | |
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